おためしシンデレラ


「理由にもならへんな」

ばっさり切って捨てると莉子の顔色が益々蒼白になる。

「甘ったれんな。仮にも社会人を名乗るなら体調なんかを失敗の言い訳なんかに使うな!」


・・・・・・・・泣くかーーー?


三村が今までの秘書と変わらずコイツも使えないかと鼻白んでいると、莉子が顔を上げた。


「申し訳ありませんでした!今後このような失敗は二度としません!」


微かに瞳は水分を湛えているものの、気力で流れ落ちないように堪えている。


なかなか気が強いと三村は内心笑う。


「阿呆、二度したらお前は秘書をクビだ」

「はい!以後気を付けます」


そう言って莉子が真っ直ぐな視線を三村に向けた。



あれ以来、莉子は失敗しない。

体調が悪くても一言も三村に弱音を吐かない。



莉子が座るソファーの隣にそっと腰を下ろし、三村は自分の優秀な秘書の顔を見つめる。

28の割に幼い感じがするのはぷっくりとした頬の丸顔のせいか。化粧も他の秘書に比べれば下手だし、薄い。
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