おためしシンデレラ


手軽な恋愛対象には向かない女。



この間の見合いの男はきっとコイツのことを一目で気に入ったことくらいちゃんと気付いている。

家庭に入ればいい妻、良き母になるだろうことは想像にかたくない。

けれどそれ以上に仕事でも優秀だ。

マメを家庭に縛り付けない思う存分仕事をさせてくれる懐の深い男を穂村あたりに探させるかーーー三村がそんなことを考えているとはこのマメは夢にも思わないだろうなと想像しながらソファーの背もたれからずり落ちそうな秘書の頭をそっと自分の膝にのせた。



頬に硬い感触。

あれ・・・・・?
どこにいるんだった・・・・・?

莉子が薄らと目をあけて、ぼんやりする頭で現状認識をしようとする。

いけない・・・・・!
うたた寝をしてしまったとハッと気付いて身体を起こし、自分が枕にしていたものを見た。



瞬間的に顔から血液が消え去った。



「よう、マメ。気分はどうだ?」


かけられる声に頭を思い切り殴られたような気になる。


枕にしていたのは三村の膝。


咄嗟にソファーの後ろのキャビネットの上の置時計で時間を確認して、莉子は自分が眠ってしまったのは15分ほどだと安堵した。

いや、業務中に居眠りはダメなんだけどーーー。

「申し訳ありませんでした!」

立ち上がって三村に頭を下げ、くるであろう叱責を覚悟する。居眠りした挙句、三村の膝を枕替わりとか有り得ない。
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