おためしシンデレラ


「ついでに和生に結婚ええかもって思わせたら特別ボーナス出るかもよ?」

穂村は秘書課長であり三村の大学の同級生でもあるため、プライベートでは和生と呼び捨てにする。

「結婚の良さなんて課長と環さんが教えてあげはったらええやないですかー。独身のわたしに言わないでくださいよ」

「教えても面倒臭いの一言で一蹴されて終わりや。会長も頭を抱えてるよ、早く身を固めてくれって」

「あ、でも莉子ちゃん嫁入り前で和生くんと2人だと貞操の危機・・・・・?」

「あ、それはないです。自宅に性欲は持ち込まないそうなんで」


穂村が盛大にジュースを噴いた。


「ああ、確かに。和生くん、絶対に自宅には女性を持ち帰らないもんねぇ。1回連れて帰ってその後なし崩しに我が物顔で入り込まれるのがイヤやって言うてたわ」


自宅は神聖な場所とでもいうのか。
その場所に秘書が入るのは良いのか。


コロコロ豆みたいな女には1ミリも欲情しないから大丈夫ということだろうか。


嬉しいような腹立たしいような女心は複雑だ。



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