おためしシンデレラ
・・・・・・・・・・言いたいことは分かる。
あの極上のオトコマエが声をかけるのがこんなちんちくりん?ってとこだろう。
コロコロとキャリーバッグを転がして三村に近付くとヒョイと持ち上げて後部座席に入れてくれた。
「ありがとうございます」
「おう、早よ乗れ」
三村は運転が好きならしく、通勤もこの愛車でする。穂村は運転手つきの車が折角あるのだから使えと言っているらしいがどこ吹く風だ。
「マメ、どっかで晩飯食ってくか?」
「いえ、スーパーに寄ってください。作ります」
三村が暫し黙る。
「社長?」
「・・・・・いや、マメに料理ができるとは思わなかった」
なんだそれ、失礼な。
大学時代から一人暮らしだし、一通りのことは莉子だってできる。
ふと気付くと三村が左にウィンカーを出していた。
「社長!ここはダメです!」
「スーパーならなんでもええやろ。金ならオレが出すし」
莉子が大きく息を吐き出す。
三村が入ろうとしていたのは京都でも有名な輸入食材や有機野菜を扱う高級スーパー。