おためしシンデレラ
「サンキュ」
素直にコーヒーにミルクを入れて、コーヒーを飲む前に胃薬も飲んでいる。
こういうときは少し懐いたなあと感じる。
「は?マメ?」
「豆田です、社長」
辞令を受け取り、気分が乗らないまま社長室に挨拶に来た。
莉子を頭の先から爪先まで一瞥して、三村が笑いを漏らす。
考えていることがダダ漏れだと莉子は面白くない。
154cm、50kg。
どちらかというと少しぽっちゃり。
ふわふわの肩までの色素の薄いネコっ毛は収まりが悪くて緩くパーマをあてている。
スラリとしてサラサラヘアーの美人が大半の秘書課では異色だ。
どうせ心の中でコロコロして豆っぽいとか考えてるのだろう。
「マメ」
「豆田です」
「なんでもええ、オレは使えないヤツはいらんしな。不要やと思ったら即刻秘書をおろすからそのつもりで」
「かしこまりました。頑張ります」
「それとな」
部屋を出ていこうとした莉子の背中に声がかけられた。
「・・・・・はい?」