おためしシンデレラ


8畳ほどの洋室。
買ったばかりなのだろう、布団がデパートのパッケージがされたままでんっと置かれている。

「ありがとうございます」

「隣がオレの寝室、向かいがバスルームとトイレや」

「はい」

「夜這いすんなよ」

「仕方がわかりません」

三村が呆れたように莉子を見た。

「俗に言うアラサーのくせに・・・・・」

正直に答えただけなのに。

三村が背中を向けて廊下を歩く。突き当たりのドアをあけると正面が一面ガラス窓になった広々としたリビングダイニング。20畳以上あるのではないだろうか。左手にはダークブラウンの高級そうなダイニングテーブルに高い背もたれのついた椅子が4脚。

右手にはL字に置かれた黒革のソファーセットに大きなテレビに観葉植物。

ダイニングの向こうにキッチンらしきもの。

生活感がなくてこのままドラマの撮影とかできそうだ。

どの家具を見ても色の濃いものばかりなのにホコリが見当たらない。

これはアレだな・・・・・。
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