おためしシンデレラ
後はよろしくと軽く頭を下げて慌ただしく莉子が部屋を出て行った。
同居が始まって以来、宣言通り三村は家事の分担をやらされている。ゴミの分別まで莉子は煩く言う。
しかし、アイツの色気のなさは何だ。
そういう対象として見てはいないが三村が心配になるほど30前の女の色香が感じられない。
風呂上がりはパジャマを兼ねているのかTシャツとジャージ。
「・・・・・マメ、お前色気は何処に置いてきた。風呂上がりってもうちょいなんか匂い立つようなこう・・・・・」
「元からないですよ、そんなもの。全ての女子に標準装備されてると思う方が間違ってます」
莉子がムスッと言い返してくる。
思わず可哀想な子供を見るような瞳をしていた三村に莉子はキッと鋭い目線を投げて少し乱暴な足取りで自分の部屋に戻って行った。
まあ、妙に色気を出されても困るか・・・・・。
それに実際のところ、同居が始まってまだ何日も経たないけれど、三村の秘書は仕事で見せる有能さを家事でもキチンと発揮している。