おためしシンデレラ
「オレは秘書にどうこうしようとか思ってへんし、恋愛ごとはナシだ」
三村が莉子に釘を刺した。
「はい」
わざわざ高スペックの社長に玉砕するのが分かっていて好きになったりせえへんしと心の中で莉子が舌を出しているのを三村は気付いているのかいないのか、言いたいことだけ言ってデスクの上の書類に意識を戻した。
あれから3年。
まだ『社長秘書』という肩書きが外れないということは、莉子はそこそこ三村のおメガネにかなっているということなのだろう。
「マメ!営業部からの書類は?」
「デスクに置いてあります。ザッと目を通していただいたら10時からの会議に出席してくださいとの常務からの伝言です」
「昼・・・・・」
「昼食は専務とのお約束がキャンセルになりましたのでいつものカフェにBLTサンドをお願いしておきました。12時には届くはずです」
三村がちょっと目を見張り、目尻を微妙に下げる。
「流石」
「ありがとうございます」