おためしシンデレラ


莉子が万が一結婚出来たとして、仕事を続けていく上で何があれば便利なのか考えて、三村に言うつもりだ。


「難しい顔して何をしてるんや」


後ろから不意に声をかけられ飛び上がった。


「しゃっ社長!?」


「なんや、なんでそんなビックリする。家主やぞ、オレは」


そう言うと莉子が持っているペットボトルをヒョイと取り上げ三村が残りを一気に飲み干した。

間接キスやん・・・・とは口が裂けても言えない。お前は中学生かと返されるのがオチだろう。

「音もなく帰ってきて後ろから声をかけられたら驚くやないですか」

しかも今晩は帰って来ないと思っていたのに。

三村が莉子の隣にどっかりと腰を下ろし、ネクタイに指を入れて緩めて大きな息を吐く。

かなり酒臭い。
思わず莉子が顔を顰めたら気配を感じたのか莉子の方に顔を向けて不敵な笑みを
浮かべた。

手を伸ばしタオルを掴んで、莉子の頭をガシガシとかき混ぜる。

「ちょっ・・・・・!社長!?痛いですって」

「ドライヤーくらいしろや、まだ濡れてるぞ」

「だからってそんな乱暴に拭いたらわたしの髪は細くて縺れるんですって」
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