おためしシンデレラ
「・・・・・お前、こないだから思ってたけど自己評価が低すぎる。平均値くらいには可愛いぞ」
果たして褒められているのか、微妙な言い方だ。
「ありがとうございます、でも試すのは結構です」
「なんで?」
なんだか三村が楽しそうだ。これは珍しく酔っているな。しかもさっきより一段と距離が近い。
「仕事に恋愛を持ち込むなって仰ったのは社長です」
「恋愛ぬきでも男はできる」
「そうですか。でもわたしは無理です。そこにはやっぱり恋愛感情があって欲しいです」
「夢見るアラサー処女は面倒だな」
「そう思うならわたしのことはほっといてください」
ソファーの背凭れに肘をつき、足を組んで座り、上半身だけを捻り莉子の方に向いている三村は酔っているからか普段の色気三割増だ。
「けど面白い」
シャワーを浴びてから寝ると三村がソファーを立ち、着替えの為か寝室に向かって歩き出す。
後姿を見送りながら今の三村の言葉を深く考えることもなく、また自分をからかっているだけだろうと莉子は気にもとめなかった。