おためしシンデレラ
秘書の休日
莉子の休日は普段ならひたすら惰眠を貪る。たまにショッピングに出たり、学生時代の友人と会ったりするけれど、一人の方が多いかもしれない。
莉子の歳になれば家庭を持っている友人も少なくなく、小さな子供がいたりすると友人の莉子よりそちらを優先されるからだ。
土曜日の朝、普段よりは30分ほど遅く目が覚めた莉子はえいっと勢いをつけて起き上がった。
「折角の休みやし、ちゃんと家事しよ」
仕事がある日はどうしてもいい加減になってしまう掃除をしないと。
ドアを開けると同時に三村がジョギングから帰ってきた。
「お帰りなさい、すいません、すぐ朝食の支度をします」
そう言って身体の向きを変えた莉子の頭上から目の前に紙袋が差し出される。
「社長?」
「ここのベーグルサンドが美味いんや。シャワーしてくる間にコーヒー入れといて」
休みの日でも日課は変わらないんだ、と莉子は少し驚いた。
女性に関しては褒められたものじゃないけれどその他は意外とストイックなのかもしれない。
偉いわ。