おためしシンデレラ
「お前、オトコとスキンシップに慣れてないやろ。切れ者秘書はオトコに免疫ありませんってな」
三村の口角がすっと上がった。
勝ち誇ったような顔に莉子がムッとする。
「そっ・・・・・そんなん秘書のスキルに必要ないやないですか!」
離せと言わんばかりに暴れるけれど拘束する力は案外強いし、いつの間にか腰を取られていただけなのがすっぽりと三村に包み込まれるように抱かれていた。
「・・・・・マメ、抱き心地ええな。オレ骨の刺さりそうな女しか知らんから新鮮」
そうでしょうよ!
モデル体型の美人(いや、ホントにモデルだったりするけど)しか恋愛対象にしてこなかった社長には自分みたいなぷにぷにした丸い身体は新鮮でしょうよ!と心の中で叫びながら莉子が藻掻く。
「セッセクハラっ!」
「業務時間外や」
「家庭内セクハラっ!」
「阿呆、そんなもんあるか」
楽しそうな三村が笑って拘束を解いた。
莉子が素早く三村から離れて向かいの席に戻る。
「早よ食って掃除やろ。その後車で出掛けるぞ」