おためしシンデレラ
「クリーニング持って行きたいんで1階に寄ってからでもいいですか?」
「おう」
高級マンションは便利だ。
クリーニングもコンシェルジュにお願いしておけば取次ぎしてもらえる。莉子なんか少し割高でも夜遅くまで開いているクリーニング屋に出して仕事帰りに閉店ギリギリに受け取りにとびこんでいるのに。
簡単に化粧をして襟元に細かくお花が刺繍されている白いカットソーにピンクベージュのガウチョを合わせてデニムのジャケットを羽織った。あのスペックのイケメンの横に立つにはどんなに頑張っても足りないけれど。
「お、マメ、おソロだな」
部屋から出た莉子の前に三村が立っていた。薄いグレーのTシャツに紺のジョガーパンツ、それにデニムジャケット。
「か、替えてきます」
と部屋に戻ろうとした莉子の手首を掴んで止めた。
「かまへん、そのままで」
三村に手を引かれて玄関まで行き外に出る。まず1階やな、と三村がエレベーターのボタンを押した。