おためしシンデレラ
秘書のお仕事
「和生さんいてはるかしらぁ」
誰だ、こんな電話をわたしに繋いだバカは・・・・・!と心の中で舌打ちをしつつビジネスライクに応対する。
「申し訳ありません、社長はただ今会議中でお電話をお繋ぎできません。伝言がございましたらわたしから三村に伝えますが」
どこぞのクラブのおねーちゃんらしく、お店に来て欲しい旨を甘ったるい声で告げた。
慇懃無礼にお伝えしておきますと返し、受話器を置いて息を吐く。
同伴のお願いだろう。
だけど莉子は知っている。
クラブのおねーちゃんでも、社長は気に入った女性にはプライベートの携帯番号が入った名刺を渡す。会社に電話をしてくるということはビジネス用の名刺しか貰えず、興味を持たれなかったということだ。
「女なら誰でもええってわけではないねんなあ・・・・・」
電話を見ながらポロリと口をついて出た。
「当たり前や、手当たり次第いっとったら身体がもたん」
社長室のドアが開いて、入口に背中を持たせかけた三村が軽く莉子を睨んでいた。