おためしシンデレラ
イケメンは万国共通か、莉子の分からない言葉で囁かれる会話も何となく想像がつく。
違いますよ。
ただの秘書ですよ。
仕事絡み、色っぽいことなんてこれっぽっちもない関係なんですよ。
聞かれたら莉子はきっとそう答える。
だってそれが真実だから。
ぼんやりしていると口元に冷たいモノが押し付けられた。
「!?」
「食え」
ポカポカと春の陽気の中、目の前のアイスクリームスタンドは行列が出来ていて、三村が莉子に向けてソフトクリームを差し出している。
繋がれていない方の手で受け取り、ちょっと舌を出して舐めると濃厚な牛乳の味がした。
「あ、美味し」
ふふん、と三村が勝ち誇ったような顔をする。
慣れないシチュエーションに莉子ばかりが動揺していて悔しい。
だからつい悪戯心が起きた。
「はい、和生さん、あーん」
三村の唇にアイスクリームを押し付けた。
三村が一瞬目を瞠る。
やった、勝ったと莉子は内心ガッツポーズをする。
「・・・・・甘い」