おためしシンデレラ
莉子にはそもそも自分を良く見せようだとかそういう欲が備わっていない。
世間で言うプレミアム物件(社長)をこの同居期間中にオトしてやろうだとか爪の先程も考えていない。
大体、三村のような希少生物を自分から罠を張って、狩りに行くのは美人だけが許される特権だ。
なので三村のマンションでもどこまでも自然体であり、あくまでも『秘書』という立場を崩さないように多少の気も遣っていた。
だから困る。
踏み込まれ過ぎるとどう対応して良いのか分からない。
「オトしてみれば?」
「はぁ?」
話があると呼び出された会議室で莉子が穂村にマヌケな返事をする。
「いや実は3日で飽きると思ったんだよね、キミとの同居。自分のテリトリーに他人を入れるとか和生には無理やろと思ってたから。それが思いの外、上手くやってりみたいやしキミとなら結婚もありかもなあと」
「何もかもが不釣り合い過ぎて笑われるのがオチです」
「そうかなあ、僕は見慣れたよ、キミらのツーショット。見ようによってはお似合いやないの?」
どんな見ようだ。