おためしシンデレラ
とにかくベッドから抜け出すことが先決だと莉子は三村の腕に手をかける。
「・・・・・バタバタすんな、まだ早い」
不機嫌な三村の声に莉子の背筋が凍った。それでも勇気を掻き集めて聞く。
「し・・・・・ゃちょ・・・・・なんでわたしベッドに・・・・・」
「あ?いくら春先やてソファーで寝てたら風邪ひくやろ。だからベッドに運んでやったんや」
「だってわたしの布団・・・・・」
「お前抱いたまま布団が敷けるか」
欠伸をしながら三村が答えた。
「変なことしたり・・・・・」
「アホ。ハムスターでは1ミリも勃たんわ」
1ミリも・・・・・!?
いや、ひっかかるのはそこじゃなくて。
「とっ・・・・・とりあえず自分の部屋に帰りますから腕を」
「やかましい。もうええからさっさと寝ろ!」
そう言うと三村は莉子の身体を離さず、規則正しい健やかな寝息まで聞こえてきた。
どうやら莉子を湯たんぽか抱き枕と間違えているらしい。
どうしたもんか。