おためしシンデレラ
「しっ社長!」
たるみの無い筋肉質な身体で、見事に割れた腹筋を見せつけるように三村が裸を晒した。
「なんや、ちゃんと下ははいてるやろ」
不満げに三村が莉子の前に立つ。
免疫のない莉子は思わず目を逸らした。
「アラサーでそこまで免疫ないのもどうかと思うぞ」
心底呆れたような三村が腕を伸ばし、莉子を抱き締めた。
莉子の頬が三村のひんやりした胸にあたる。
「しっ社長!な、生!裸っ!」
「お前な、少しは慣れろ。そんなことやと永遠に処女やぞ」
三村が腕に力を入れてくるので莉子の身体は益々密着した。
「そ、そしたら死んだ後博物館にでも陳列して貰います!」
もう、昨夜から何の修行なんだ!
腕の中で必死でもがく莉子をパッと三村が離す。
爆笑と共に。
「大英博物館にしろ」
「・・・・・・・・・・は?」
「オレ、ミイラ好き。ロンドンに行くたびに見に行ってるしな。陳列されたら見に行ってやる」
・・・・・・・・・・そこまで珍しくないわーーー!
ってか9歳も年上のクセに自分の方が長生きかよ!
鼻歌混じりにシャワーに向かう三村の背中に心の中で言い返した。
朝から1日分の元気を使い果たしたような気がして、莉子が会社に向かう足取りは重い。
やっと折り返し地点までやってきた同居の残り期間をどうか何事もなく乗り切れますようにと願ってやまない莉子だった。