不器用な恋に、口付けを。
隣から視線を感じてはドキドキしてまともに目も合わせられなくて、煙草を吸う手だけが異様に速く動いてしまう。
「…はーん」
「何」
視界の隅っこで立ち昇ってゆく晃介の煙。
ニヤリと企んでいるような笑みを浮かべているような気がしてあたしは密かに冷や汗を掻いていた。
「さては相手、いないんだ…?」
痛いところを突かれてグッ…と口元に力を入れるあたし。
そんな晃介が"ふぅん…"と呟いているあたり、これは完全にイジられて終わるパターンだ。