不器用な恋に、口付けを。
綺麗な栗色の巻き髪を揺らす大人っぽい女性は、晃介の腕に自分のそれを絡ませて彼を引っ張ってゆく。
それがどれだけ親密な関係なのかってことをあたしは強く知らしめられた。
この前まで彼女はいないって言っていた。
…モテるって言ってもずっと告白を断っていた晃介にあたしは甘んじていたのかもしれない。
「まだ言ってないのに…」
まだ好きって言ってない。
こうやって無駄にプライドが高くて素直になれずにウジウジしてる間に、大事なものはどんどん離れて行ってしまう。