不器用な恋に、口付けを。
とびきり甘い人
人並みに逆らって早足で歩く男女。
幸せそうなカップル達や家族連れなんかも全て見えなくなって、光の世界だけがぼんやりと輝いて見えた。
白。赤。ピンク。
光のコントラストがやけに綺麗に見えているこの街はクリスマス本番を迎えてより一層盛り上がりをみせていて。
「…っ、こう、すけ…?」
息を切らしながら一向にこっちを見てくれない彼に問いかけてみるあたし。
片手にはこの本人にあげるつもりだったプレゼントが入った袋。
それだけはちゃっかり握られているあたり、あたしは相当未練がましいらしい。