幼なじみ
「…………。」

私は今!官軍の目の前で制服に着替え中でございます!

まぁ。幼なじみだからぁ?

小さい頃からの付き合いだからァ?

官軍はどうも思わないんだろうけど!!!

私は結構恥ずかしいものなのよ!もぉ~!

「夜音~?なんでそんなに顔赤くしてんの?」

(ギク!)

「あは、あはは・・・」

そりゃぁあ!赤くもなるでしょうが!

官軍はいいよ?!私のことなんて″ただの幼なじみ″なんだから!

でも・・・私は違うの!

「べ、別に~?いたって普通ですけど~?」

「そっか♪ならいいんだ♪」

そっか♪ならいいんだ♪じゃないわよ~!何がいいのよ?!何がそっか♪なのよ~!

でも・・・でもさ。

そう考えると・・・切ないな。

だって、官軍にしたら私は・・・″ただの幼なじみ″

はぁ~……

あーもー!!!

私が頭の中で爆発させていると官軍が口を開いた。

「!!夜音!遅刻する!急いで!」

私はハッとして時計を見た……。時刻は午前8時……

「お、終わった……。」

私はつぶやいた。

「走れば間に合うから!急いで!」

官軍は私にまだ着れ終えてない制服を次から次えと着させてくれた。

私も急いで着た。

家を出たのは午前8時3分

「行ってきます!!!!」

「おば様!行ってきます!!」

私達はダッシュで走った。

官軍は足が早い・・・だから私は追いつくのに必死だった。

その時。

(パシッ!)

「え……?」

私は自分の手を見た。

官軍の手が私の手をとって引っ張ってくれていた。

「本っ当。足遅いんだから。握ってろよ。」

私は言われるがまま。官軍の手をぎゅっと握った。

そして走った。

「ゼェ……ゼェ……。ま、間に合った……。」

「ゼェ……ま……ゼェ……にあ……ゼェ……った……ゼェ……。」

私と官軍はゼェゼェ言いながら学校についた。

時刻は午前8時30分

家を出たのは午前8時3分

家から学校まで片道一時間以上はかかる道を、官軍が手をつないでくれたおかげで、

28分で付いた!

(官軍やべぇ……)

私はそう思いつつも官軍と教室に入った。

教室に入った瞬間、みんなの視線が一気にこちらへ注がれる。

私と官軍は顔を見合わせた。

次の瞬間……!!

「キャーーー!夜音ちゃんと官軍!!手!繋いでる~!」

「うわ~!お前らいつからそんな関係になってたんだよ~!」

みんなが騒ぎ出す。

(え……?)

私と官軍は手を見た。

「「!?」」

(パッ!)

私達は急いで手を離した。

「ご、ごめん。離すの忘れてた。」

「こ、こっちこそ。ご、ごめんね。」

すると一人の男子が訳分からないことを言い出した。

「お~!官軍と夜音がイチャついてる~!キスするかぁ~?」

と言ってきた。 その瞬間。

「キスして~!」

「キスしろよ~!」

「「「キ~ス!キ~ス!キ~ス!」」」

クラス全員が言い始めた。

(やばい!ちょ~恥ずかしいんですけど!)

私がそう思っていた時。

「いい加減にしろ!!!!!!!」

「「「!?」」」

ピタッ

「キスキスうるせぇ~んだよ!!」

官軍が声を上げた。

教室が一気に静かになった。

「大体!!こんなヤツとなんかキスなんて死んでもしねぇ~よ!!夜音は……」

(ゴクリ……)

「″ただの幼なじみ″だ!!!!!!」

(ズキッ!…)

(そう……だよ。官軍はただの幼なじみ。ただの……幼なじみ……。)

「何もそこまで言わなくても……」

一人の女子が言った。

官軍はハッとして私を見た。

「いや……これは……その……」

私は知らないうちに涙を流していた。

私は涙をぬぐい顔を上げて言った。

「みんな!そうだよ!官軍の言う通りだよ!!私達は……っ……た、ただの幼なじみなんだから!キスなんてするわけないでしょ!」

「ドン!バン!!!!!!!」

私はそう言い残して、カバンを机に置き教室を出た。

私はその日。1日中泣いてた。

泣きすぎて目が腫れてあたふたしてると一人の女子が近づいてきた。

「夜音。大丈夫?」

優しく声をかけてきてくれた。

そう。こんな優しいのは、あの子しかいない。

私の大親友。

未奈月柚羽(ミナズキ ユズハ)
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