幼なじみ
私は柚羽に抱きついた。

そしてまた泣いた。

柚羽は私を優しく包み込んでくれた。

「よしよし。」

「柚羽~!ズズッ……官軍……官軍が……ウッ……ウワーン!」

「うん。わかったから。ねぇ?お願い。もう泣かないで。」

柚羽は優しく言ってきた。

私は柚羽からゆっくり離れ、制服の袖で目をこすった。

「ねぇ。夜音。」

柚羽が優しい声で呼んできた。

「う……なっ……にっぃ……?」

「これから、うちにこない?」

「え……?」

私は聞き返した。

「いや?夜音の顔。ひどくてほかの子になんて見せられないよ。」

私は鏡を見た。

そこには……目がぼっこり腫れている自分がいた。

しかも……声はガラガラ。

(柚羽はやっぱり優しいな。)

私はガラガラな声で柚羽に言った。

「柚羽……お家……行っていい?」

「もちろん!今日は私の家に泊まっていきなさい。」

柚羽はお母さんのように言った。

そうして。その日は私と柚羽で早退し、柚羽の家にまっすぐ行った。
< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop