幼なじみ
story官軍
俺は今。
すごく後悔している。
(みんな後あんな事言うから……くそ!)
あの後、夜音は柚羽と早退したらしい。
俺はずっと机につっぷしていた。
(はぁ~……「俺にとって夜音は……″ただの幼なじみ″だ!!!」なんであんな事言ったんだろう。もっとほかに言うことあったはずなのに。どうして……俺は……!くそ!くそ!くそ!俺は……俺は……夜音が……好き……なのに。)
そう。
俺は昔から夜音が好きだった。
何をするにしてもいつもどんくさい。
でも、どんくさいからこそ、守ってあげたいって思ったんだ。
夜音は昔、俺を命懸けで守ってくれた。
それは。
夏の暑い日。
俺と夜音は海へ来ていた。
夜音はその時。美少女コンテストに応募をしていたから日焼けは許されなかった。
夜音はパラソルの下でおしとやかな笑顔を見せていた。
俺はそんな笑顔を見ながら海へ入って遊んでいた。
俺は夜音の顔を見ながら静かに海の中を進んでいった。
その時!
俺は何かに足を取られ沈み始めた。
沈んだ時足元を見た。
背筋がぞわっとした。
そう。俺の足を引っ張っているのは数人もの人。
そこは昔から死者の集まる海と呼ばれていたらしく死者が出てくる範囲に俺はいつの間にかたどり着いていた。
俺は慌てて上へ上がろうとするが、上がれない。
息が苦しくなり始め、力が思うように出ない。
(俺……死ぬのか……)
そう思っていたら(ギュッ!)
俺を何かが抱きしめた。
俺は慌てて顔を上げた。
夜音だ。
夜音は俺の口に自分の口をつけ息を入れてきた。
そして夜音はものすごい力で俺を引っ張りあげた。
何かを唱えながら。
俺と夜音は上へ上がり、すぐにその場を離れた。
夜音は俺を見てこう言った。
「官軍。あそこは死者が出てくる場所なの。もう絶対あそこまで行っちゃダメ。わかった?あと
何かあったらすぐ夜音に言うこと。そしたら、夜音が命を懸けて官軍を守るから。」
そう言われたのを覚えている。
あとから聞いた話だが、夜音はその時使った。呪文で自妙が10年縮まったと言う。
あの時言っていた言葉は死者を眠りにつかせる呪文だったらしい。
その後その力はあまり使うことなく今では普通の女の子になっている。
でも変わらないことが一つある。
それは。夜音が生きられる時間が10年減ったということだ。
だから今度は俺が守ってあげる番なんだ。
俺が大好きな……夜音を。