運命のヒト
結婚の挨拶
俺の名前はサトル。
今、隣に座っている女性はユミ。


俺たちは交際0ヶ月。
知り合ってからは8年が経つ。


「ユミさんと結婚させてください！」


目の前に座っているのはユミの両親だ。
初めて会って、こんなことを言っているわけで‥
両親の顔色は曇っていた。


「彼氏がいたなんて聞いてなかったから、正直いきなりでびっくりしたわ。」
ユミの母親が口を開くと、父親も続けて口を開く。
「君の年齢や仕事について教えてくれないか。」


「えっと、まず俺たち付き合ってはいないです。8年くらい友人で、昨日プロポーズしました。年齢はユミさんの1つ上になります。

仕事は‥何もしていません。」


俺はつい半年前に仕事を辞めていた。
そして、ユミの両親に反対され、今はユミと帰りの電車に乗っている。


「ねぇ、なんであんなこと言ったの？」


「いいだろ、べつに。」


俺はユミの言葉を遮るかのように、ウォークマンを爆音にして聴き始めた。


「ねぇ、ちゃんと話そう！」


俺のイヤホンを取って、俺の目を見て真剣な顔で話しかけるユミ。


そう。
俺はこんな真っ直ぐで人間くさいユミが大好きなんだ‥。
そっか。
今はもう声に出してこの想いを伝えてもいいんだっけか。
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表紙・目次

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