運命のヒト
新たな道
「なんで医者になるって言ったの?医者になりたかったの?」


俺はユミの両親に仕事をしていないことを当然ながら否定され、結婚は認めてもらえなかったのだ。


「俺、医者になります!だから、医者になったらもう一度ここに来ます。」


俺はなぜあんなことを言ったのかよくわからなかった。ただ、ただただユミと結婚したいんだ。
経済的な要素なら解決してやる。もうたいていのことでは揺らいだりしない。俺には覚悟があるんだ。


「ん?医者は‥例えかな。なんつーか、悪いけど、俺、ユミと必ず結婚するからな。」


「ありがと‥でも、なんかごめんね。」


ユミはそう言うと、珍しくボーッと電車の窓を見ていた。海の見える窓を。


俺は家に着くと、医者になるにはどうしたらいいのか、夢中で調べた。


そう、答えは簡単だ。医学部の大学を卒業する他に方法などないのだ。


俺は2年間予備校に通いながら猛勉強することで、奇跡的に地方の大学に合格した。


しかし、ユミとは離れ離れになる。
今までのように簡単に会える距離ではなくなる。


俺は‥正直迷っていた。
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