潮風とともに
悟くんが、ばっ!とこちらを向いてきたから
私はとっさに手を顔の前で合わせた。
「っちげーよ、そんな何回も落としてない!ね?美穂ちゃん!!!」
「んーどうだったかな。まぁメイクが全部落ちるくらいには振り落とされたかな?」
美穂がイジワルな顔で返すと
波瑠はふーん。と言って悟くんの方をみた
「ーーーー!わかった!ごめん!ごめんなさい!」
「おまえ、あれ結構アザになったりするの分かってんだろ。もし少しでもあざができてたら許さねぇからな。」
波瑠に睨まれて、悟くんはしょんぼりとしてしまい、
ゆかりさんが必死に慰めていた。
「波瑠の溺愛ぶりが、もう俺は恐えーよ。
瑠碧ちゃん、なるべく早くに嫁に来てくれるとこっちは助かるよ。
じゃないと毎月連休取って大阪に行きそうだからね。」
弘人さんが呆れたように言うと、私に苦笑いを向けた。
その時、波瑠が握る手を強めたのがわかって、
私もギュッと握り返した。
店に着くと、奥の座敷にすわり
各々好きなものを注文していく。
飲み物が揃った所で、弘人さんの声かけで乾杯した。
みんなやっぱりお酒に強いのかピッチが早い。
私もつられそうになるけど、夜、波瑠との時間を大事にしたいから押さえ目で飲んだ。