潮風とともに
「沖縄にくる二日前、、仕事が終わったらその彼の所に泊まる約束してて。
結納から一ヶ月、忙しかったのもあるけど、ずっと会ってなかったから、その日は残業もせずに行ったの。
そしたら彼の部屋で、私の職場の後輩と彼がセックスしてた。
現場を見て、声を聞いて、一気に気持ちが冷めていくのが分かってそのまま帰った。」
波瑠が握る手の力を強めたのがわかった。
「悲しいとか切ないとかいう気持ちが全く沸いてこなくて、気持ちの悪さと嫌悪感しかなくて、、、
その日のうちに直接あって別れ話もして、別れた。
美穂が心配してきてくれて、色々回りから後押ししてくれて、翌日にはお互いの親を含めて婚約破談の話をして、
結構彼がごねたのもあって、
お兄ちゃんが弁護士なんだけど、
間に入って、慰謝料とか接近禁止とか手続きをしてくれ
たの。」
私は一息ついて、
深呼吸した。
「今はその後輩からの慰謝料の話だったりが残ってるけど、全部お兄ちゃんがやってくれるから、
もう私がなにかすることはない。
けど、たった数日まえまで違う男と付き合ってたっていうのとか、婚約してたこととか……
波瑠にはちゃんと話しておかないといけないと思ったの。
波瑠、ごめんなさい、、、」