潮風とともに
翌朝、すっきりと目覚めた私は
まだ眠っている美穂が起きないように寝室を出て、
朝食の準備を始めた。
準備を終えて、美穂を起こす。
「ん……瑠碧おはよ、、、いい臭い!朝ごはん作ってくれたん?ありがとうーー!」
「そうだよ。顔洗ってきなー。」
戻ってきた美穂と一緒にモーニングをとる。
甘く入れたカフェオレが美味しい。
「美穂、ちょっと会社に電話してくるね。」
私は一言美穂に断ってからリビングを出た。
数回のコール音の後、この春入社したばかりの小野真里江が出た。
「もしもし、真里江ちゃん?重田だけど、部長に替わってくれる?」
私がそう言うと、はぁーいと何とも言いがたい返事をして部長に繋いでくれた。
「もしもし?瑠碧、どうしたの。今日の打ち合わせ10時だったよね。」
綺麗な澄んだ声をした田中部長が言った。
田中彩花部長は今年部長になったばかりの35歳。
すらりとした身長に色気のあるスタイルでマリアージュの他の支店にもファンがいるくらいの美人。
私の憧れの人でもあるし、26歳で結婚しても尚ラブラブな所が羨ましい。
旦那さんは難波支店の支店長でもある。
美男美女の夫婦でみんなの憧れの的だ。
「おはようございます。彩花さん、すみません。今日の打ち合わせ、キャンセルしてもいいですか。」
「そうなん?都合悪くなったん?ほな次はいつが都合ええんかな。」
「次はないんです……。すみません。」
「……え。瑠碧、どういうこと?何があったん?」
彩花さんの心配そうな声に悔しくて涙腺が緩むけど、必死に涙が溢れないように唇を噛み締めた。
「電話では、ちょっと……。休み明けに、お話します。」
「そっか、、、瑠碧、無理しなや?1週間ゆっくり休んで。また休み明けに待ってるから。」