潮風とともに

電話を切るとフッと小さく溜め息をついた。


彩花さん、心配してたな。
そりゃそうか。


私は気を取り直してリビングに戻った。


「会社大丈夫やった??」

美穂が弄っていたスマホをテーブルに起きながら心配気に聞いてくる。

「うん。詳しくは休み明けにって言ったけど、キャンセルはしたよ。まだ一度しか打ち合わせしてないし、大丈夫。」

私は苦笑いを浮べた。


「そろそろ出やなな。
12時に駅の改札口でいいやんな。」

「うん、大丈夫。」

私の返事を聞くと、美穂がスッピンだからかバックからサングラスを出してかけ終えると部屋を後にした。


さあ、私も準備して実家にいかなきゃ。


メイクをして、念のために紺色のワンピを着てから実家に向かった。


実家と言っても、同じ駅で徒歩15分の距離。

社会人になってから、一人立ちするために家を出たのもあるし、5歳上のお兄ちゃんが結婚してお嫁さんと実家で同居をし始めたのもある。

お兄ちゃんの奥さんは早苗さんといって、ほんわかした小さくて可愛らしい人。
本当に性格がよくて、私も実のお姉ちゃんのように思っている。


実家について、一応チャイムをおす。

「はーい!って瑠碧、実家なんだから勝手に入ってきなさいよ。」

お母さんはそう言うと、バタバタとリビングに入っていった。
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