潮風とともに
「そろそろ一度実家に戻るか。
あーくそっ、さっき帰るって言えばよかった。。。」
波瑠は相当悔しいのか、頭をかきむしった。
「ふふっ。仕方ないよ。まだ明日一日ゆっくりできるから……ね?今日のお礼も言えてないし。」
私はそう言って波瑠の手をとり、駐車場に向かった。
波瑠の実家に帰りつくと、まだ宴会は賑わっていて、
さっきより若干人が増えているような気がする……
庭からは三味線の音色と島唄の歌声が聞こえてきた。
「あ、波瑠も瑠碧ちゃんもおかえり。弘人のお父さんも来てるのよ。挨拶してきなさい。」
お母さんに言われ、波瑠に手を引かれて宴会の中に戻った。
私たちが中に入ると、より一層賑やかになり、
先ほどいなかった人たちから、またもや波瑠は冷やかされる羽目になった。
「弘人の親父さん。今日は急にすみません。親父が電話した?」
「おぉ、波瑠帰ってきたか。遅くなってすまんな。仕事が終わらなくてな。お前の親父が電話かけてきたのもあるけど、弘人からも聞いていたよ。
君が瑠碧ちゃんだね。初めまして。弘人の親父です。
ブライダル部門立ち上げもよろしくね。期待しているから。」
そう言って手を差し出されたので、握り返した。
「初めまして。重田瑠碧です。よろしくお願いします。」
私は挨拶をしてから頭をさげた。
「波瑠ー、またえらい美人捕まえたのね。恵美子もこんなに素敵なお嫁さんだったら嬉しいでしょう。」
社長の隣にいた美人な人、奥さんであろう人が私の後ろにいたお母さんに声をかけた。
「そりゃ嬉しいわよ。同じ内地からのお嫁さんだしね、早く4月になってほしいものよ?でも、弘人も素敵な方を連れてきたでしょう?」
あ、美穂のことだ。