潮風とともに

波瑠が部屋の鍵を開けて私を中に押しやると、後から入ってきて鍵をしめた。



「入って。」

そう一言だけ言われて、目も合わない……


どうしちゃったの?


廊下にはキッチンがあって、その先にワンルームの部屋に続く扉がある。


波瑠が先に入って行ってしまい、私は玄関で動けずに固まったままだった。



中々入ってこない私に痺れを切らせたのか、
波瑠が部屋から出てきて、眉間にシワを寄せたまま、
私の手を引いたて部屋へと連れてきた



無言のまま、波瑠が私に背中を見せて立ち止まる。



はぁーーーー。



波瑠から重たい溜め息が聞こえてきて、私はビクリと体を震わせた。


振り返った波瑠がこちらをじっと見つめたかと思うと、勢いよくベッドに組敷かれて、私は目を見開いた。



っっっ!はる……??


顔が真っ赤……



「瑠碧がみんなの前であんな可愛いこと言うのが悪い。 
今日一日、お前を、抱きたくて仕方がなかったのにあんな煽るようなこと言われて我慢が効かなくなりそうだった。」


波瑠が絞り出すような声で言う



「怒ってたんじゃないの……?」

私が涙目で言うと、波瑠が目元を拭いながら首をふった。




「泣かせてごめん。プロポーズ受けてもらえて浮かれてるのに、あんな可愛いこと言うから瑠碧の事、めちゃくちゃにしてしまいそうで……

冷たい態度とってごめん……怖かったよな……」



そうだったんだ……よかった……

私は首をふってら波瑠の首に腕をまわした
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