潮風とともに
「波瑠くん、顔を上げなさい。今回の事は君の責任ではないよ。赤ちゃんも……
君のその顔を見たらどれだけ瑠碧を思ってくれているのか、ちゃんと伝わってくるから……」
お父さんが波瑠の前に膝まづいて、肩に手を置いた。
波瑠が顔をあげて、静かに涙を流した。
「波瑠くん、瑠碧のそばに戻ってあげて?
瑠碧が不安そうな顔をしてる。」
お兄ちゃんがお父さんの後ろから波瑠に声をかけた。
波瑠がバッと私を振り替えると、先ほどまでの場所にかけよって戻ってきてくれた。
私はそれだけで安心して、波瑠の胸に頬を刷り寄せた。
波瑠に背中をトントンとされて、次第に眠くなってきた私はまた意識を手放した。
近くで波瑠のお父さんたちや、うちのお父さんが話す声が聴こえる。
んっ、、、
この温かい手……
大きなやさしい手……
私の大好きな波瑠の大きな手だ。
私は守られてるような感覚になった。
目を覚ますと、もう外は明るくなっていた。
ふと隣を見ると、波瑠が座ったままベッドに顔だけを乗せて眠っていた。
私の手をしっかりと握りしめたまま……
波瑠……ありがと。
私は優しく波瑠の髪に触れた。