潮風とともに


私が髪に触れていたからか、波瑠がくすぐったそうにする。


「っん……?瑠碧、起きてたのか。……おはよ。」


フフっ、眠そうな顔が可愛い。


「おはよ。」


私は顔をそっと近づけて波瑠にキスをした。



顔を離すと波瑠のやさしい眼差しとぶつかる。


「瑠碧、痛いところない?大丈夫?」


「うん、大丈夫。。。
……お腹、すいた。。。」



私が、そんなことを言ったからか波瑠がプッと笑った。


「もう少しで朝食の時間だから……待っててな?」


波瑠がいたずらな顔をしてる。

私は恥ずかしくて顔を赤らめた。




ガラガラ……

扉が、開いて看護師さんが入ってきた。



「赤嶺さん、起きてたのね。おはようございます。
担当の島袋です。よろしくね。

これ、検温してもらってもいい?」

そう言って体温計を手渡されて、脇に挟む。
反対側で血圧をはかってもらう。



「どこか痛む所とかはない?」


「はい、大丈夫です。」


「それにしても、美男美女の夫婦ね?
ナースステーションは二人の話でもちきりよ??
芸能人みたいな人って。」


フフっと優しく笑う島袋さんは、

「優しそうな旦那さんで羨ましいわ?」と私の耳元で言われて、私は照れ臭くなった。


島袋さんは点滴を確認してから、病室を出ていった。

しばらくして、朝食を島袋さんが運んできてくれて、
お腹がペコペコだった私は目を輝かせた。



「赤嶺さん、しっかり食べてね?」

そう言われて、私はしっかりと頷く。



「瑠碧、俺も下で何か買ってくるから、先に食べてて。」

波瑠はそう言うと、病室を出ていった。


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