潮風とともに
「ねぇ、赤嶺さん。。。こんなときに、話すことじゃないかもしれないんだけど……
私もね5年前に結婚して、その半年後に妊娠したの。
助産師だし、嬉しくてね……
でも、出勤途中に車にぶつかって、赤ちゃん流れちゃったの。。。悔しかった……
いつもの時間に出ていたら……
旦那に気を使わずに送って貰っていたらって。」
島袋さんは窓の外を見つめながら話続ける。
「旦那も子どもが出来るの楽しみにしていたから、すごくショックを受けて……お見舞いにもきてくれなかったのよ??
でも、旦那のお父さんたちは心配して毎日来てくれたんだけど……旦那とはそれからギクシャクして上手くいかなくなって離婚しちゃったけどね?
今では再婚してその人の子どもも一人いるの。
赤嶺さんの旦那さんは昨日ずっと泣いて、傍に付き添ってた。あなたの頭を撫でながら、ずっと名前を呼び続けていたのよ?」
波瑠…………
「だからあなたたちは大丈夫だと思ったの。
貴方たちみたいに、お互いを思いやっている暖かな心の元には、またきっと赤ちゃんが舞い降りてくるわ?
旦那さん、大事にしてあげてね?」
私は涙を流しながらうなずいた。
「島袋さんっ、ありがとうございます」
私が頭を下げると、島袋さんは頭を撫でてから病室を出ていった。