潮風とともに
「重田さん、この度はうちの愚息が……
本当に申し訳ありませんでしたっっっ。」
剛のお父さんが膝に頭をつけて謝ると、同じようにハンカチを握りしめたおばさんも頭を下げた。
「本当にすみません。。」
剛も謝ってから頭を下げた。
「相澤さん、顔を上げてください。
剛くんには瑠碧から本人の気持ちを伝えてあるみたいですし。。。
今回の結婚はなかったことにしていただきたい。
うちの可愛い娘を、浮気をするような男性の元に嫁がせる訳にはいかないんですよ。
悲しむと分かっていて、嫁にはだせません。」
お父さんがはっきりとおじさんと剛の目を見て言った。
剛は呆然としていたけど、
おじさんは涙を浮かべてもう一度頭をさげた。
「分かりました。。。
本当に申し訳ありませんでしたっ。」
「そんなっ!俺はっ、別れたない!!!!
浮気したけど、瑠碧を一番に愛しているし結婚したいっ!!!」
剛が悲痛な声で叫んでいたけど、私はそれを冷めた目で見ていた。
「剛っ!やめないか!!!」
「俺は諦めへん!!瑠碧が許してくれるなら土下座だってするし、何度も謝る!!!!」
ダンッッッ!!!!
ビクッとして音がした方を見ると、ダイニングテーブルに座っていた兄が立ち上がってこちらに歩いてきた。