潮風とともに



「ただいまー。って、瑠碧、どうしたっ?
どこか痛いのか?」


波瑠がベッドサイドまで駆け寄ってくる。
私は頭を横にふった。



「波瑠……

赤ちゃん天国に行っちゃったけど、また、戻ってきてくれるよね?」


「っ、あぁ。またきっと戻ってきてくれる。
俺達の赤ちゃんだぞ?」


そう言って波瑠が抱き締めてくれた。


「瑠碧、ご飯食べよう。な?」


頭をポンポンと叩いて、波瑠は私の顔を覗くようにみた。







きっと、また赤ちゃんはきてくれる。



私と波瑠の子どもだもん。






その後、島袋さんに聞くと赤ちゃんは小さすぎて血のかたまりとして流れ出てしまったらしく、
連れて帰ってお墓に入れてもらうことはできないそう。



でも、波瑠のお父さんとお母さんの計らいで
骨壷だけをお墓に入れてもらえることになった。



うちの両親が会社には事情を話してくれて、一ヶ月の休職扱いになったらしい。


入院して4日後、
うちの家族は心配しつつ、みんな仕事の都合もあり大阪へと帰っていった。



波瑠が心配して、一ヶ月の間は大阪ではなくうちにいるようにと。


おもいがけず、一緒に過ごせることになって私は嬉しかった。
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