潮風とともに


私は気になっていることがあった。


誰一人、あかりさんの事を話さない。


意識が戻った時には病院だったから、あの後、あの場がどうなったのかわからないまま。



誰もなにも言わないから聞いてなかったけど、
気になる……



退院の日、波瑠が仕事の休みを取って迎えに来てくれた。



ナースステーションによると、島袋さんたちがいて見送りをしてくれる。



「赤嶺さん、次はお産の時に待ってるからね。」



「っはい!ありがとうございました。」

二人で頭を下げて病院を後にした。





実家に着くとみんな仕事で出掛けていて誰もいなかった。


波瑠の部屋でテレビをみながらくつろぐ。




「ねぇ波瑠、ずっと聞きたかったんだけどね。
あかりさんはどうなったの?」




波瑠がこちらをチラッと見て眉間に皺をよせた。



「その件なら、瑠碧の兄貴に任せてるから、
瑠碧は気にしなくていい。」


そう言うとそれ以上は答えないと言わんばかりのオーラを放ち手に持っていたサーフィン雑誌に視線を落とした。



それでも気になる……



もう少し時間が経ってから、お兄ちゃんに電話してみるか。


今この雰囲気で波瑠に問いただしても不機嫌にしかならないだろうしな……。




「瑠碧、俺は明日から仕事だけどお前どうする?
朝晩送り迎えしてくれたら車は使えるし……

色々沖縄巡ってもいいし、家でゆっくりしてもいいし。
母さんもパート以外は家にいるから。」



そっかー
みんないないもんな。


「じゃあ、朝晩送り迎えするね。
色々散策する!」


私が言うと、波瑠はフッと笑って頭を撫でてくれた。
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