潮風とともに



それからは毎日波瑠と一緒に過ごした。


誰かのためにご飯を作ることがこんなにも幸せなものなんだって初めて知った。


波瑠はお昼も休憩になると帰ってきてくれて一時間一緒に過ごす。



私は時間があればブライダル部門のことを考えたり、弘人さんと打ち合わせをしたりして過ごし、

着々と準備も進んでいた。



お休みの日には二人で買い物に行ったり、

スキューバをしたり、

ビーチでまったりしたり、、、



毎日が、楽しくて幸せで大阪に帰りたくない。。。





「瑠碧、そんなに寂しそうな顔をされたら、離れがたくなる……」


波瑠が空港のゲートの前で私を見つめる



「だって……寂しいもん。あと少しなのは分かってても、こんなに毎日一緒にいたから……」



私は涙を目に浮かべた。


大阪行きの時刻がせまる。



「あと三ヶ月だから、、、来月また大阪にいくからな。」


波瑠が優しく頭を撫でて、髪にキスをした。



私は結局年末年始も波瑠と過ごし、明後日からの仕事始めの為に大阪に帰る。   



「瑠碧、寂しくても心は傍にいる。
俺達はもう夫婦なんだからな。毎日電話するよ。」


波瑠はそう言って私の唇にキスをすると、私の肩を持って方向を変えると背中を押し出した。




私は押されるがまま、ゲートにならんだ。


何度も何度も振り返りながら、ゲートをくぐる。



とうとう波瑠の姿が見えなくなって、私は一気に寂しさに襲われた、、、



波瑠…………


もう、すでに寂しい。



赤ちゃんのこともあってか、一ヶ月も一緒にいたからか、
一人になることが怖い。



搭乗口に着くとすぐに搭乗が始まり、私は飛行機にのった。



飛び立ち、見えなくなるまでずっとずっと、空港を見続けた。

またすぐに会える……



でも何者かわからない不安が心を冷たくさせる
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