潮風とともに

「瑠碧、不安にさせてごめん。
朝の電話、誤解なんだ。」

波瑠は、一度言葉を区切って私の顔を覗きこんだ。
何を言われるのか不安な私を安心させるように、
ギュッと握っていた手に力をこめた。


「…誤解??あの声、あかりさんだよね??
どうしてあんなに朝早くにあかりさんが波瑠と一緒にいるの??勝手に電話にまででて!!!」

私は不安な心のうちをぶつけた。


「本当に誤解なんだよ!!昨日は夜遅くまで父さんたちと話をしてたから実家に泊まったんだ。。
あかりは今日東京に帰る予定だったみたいで今朝ミキに会いに来てたんだよ。

そしたらミキに俺にもちゃんと謝りたいからって言ったみたいで部屋に入ってきたんだろうな。そうしたらちょうどケータイに瑠碧からの着信がきて意地悪心で出たって言ってた。」


……そんな、、、あんな事をしておいて、まだ私たちを引っ掻き回そうとするなんて!!!

私たちの赤ちゃん奪っておいて、全然反省していないじゃない!!!

「意地悪心って!あの人が何したかわかってるの!?
赤ちゃん殺したんだよ!!!!
私から!波瑠の赤ちゃん奪ったんだよ!!!!」

悲しくて、辛くて、
私はギュッと握られていた波瑠の手を振り払った。


「っ瑠碧!!!!ごめん、不可抗力とはいえ、あかりが俺の前に現れるのすら嫌だよな、、、
本当に、ごめん。ごめん!!!!」


波瑠が、逃がさないというようにきつく抱き締めながら何度も何度も謝る。
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