潮風とともに
あれから半年がたち、沖縄はもう夏真っ盛り。
新居はできあがり、後は引っ越しをするだけになった。
沖縄にきてすぐ、波留の働くホテルで一緒に働きながらブライダル部門の新設に駆け回り
あまりの忙しさに目の回る日々を送った。
そんなブライダル部門も春にはオープンして、
今では少しずつお客様も増えてきた。
そして今日、ブライダル部門オープンして始めての結婚式が執り行われる。
「緊張してる?
美穂…本当に綺麗。。。幸せになってね。」
真っ白なウエディングドレスに身を包んだ美穂に鏡ごしに話しかける。
華奢な美穂にぴったりのレースがふんだんに使われたAラインのドレスは弘人さんが選び抜いたもので
美穂に本当によく似合っている。
「瑠碧、ありがと。弘人と出会えたのも、一緒に沖縄にきたからだし、こうして披露宴を迎えられたのも瑠碧のおかげやから。ほんまありがとう。」
伏し目がちに微笑んだ美穂は本当に綺麗で、
キラキラ輝いているようにみえる。
コンコン
二人でしんみりとした雰囲気のなか、新婦控え室の扉を叩く音がきこえた。
「はい。……あ、町田さん。今日はよろしくお願いしますね。」
私が美穂の変わりにドアを開けると、介添人の町田さんが薄いオレンジの着物に身を包んで微笑みを携えて立っていた。
「瑠碧さん、ここにいらしたんですね。波瑠さんがさがしておられましたよ?」
「あーー……すみません。すぐにいかないと。
じゃあ町田さん、美穂の事よろしくお願いします、
美穂。私チャペルと会場の確認してくるね。」
私は町田さんに会釈をしてから、控え室を後にした。