潮風とともに

「瑠碧!」

披露宴会場に戻ると、波瑠が息を切らせて走りよってきた

「もう、チェックは人通りできたけど、どうかな。
チャペルはまだだけどね。」

「んーー、ちょっと見て回ろうかな。ここが終わったら
チャペルのチェックして、お客様のお迎えに行かないとね。」

私は一つ一つテーブルを見て回りながらメニューや席札に抜けがないか、ゴミや汚れがないかをチェックしていく。


「よしっ!会場はオーケー。
みなさん!今日は弘人さんと美穂の披露宴よろしくお願いします!
あと一時間半後にはお客様のお迎えになります。
始めての披露宴で分からないこともあると思います。小さなことでも結構ですので、私かチーフ、アシスタントに聞いてくださいね。」


私が会場の準備をしてくれていたスタッフに声をかけると、みんなが口々に返事を返してくれる。

「じゃあ、アシスタントの美馬さんあとはよろしくね。」

美馬さんに、声をかけてから波瑠とチーフの庄司さんを連れだってチャペルへと向かった。


「っはぁーーー、緊張する。。。」


庄司さんが胸元を押さえながら何度も深呼吸をしている。
庄司さんは、私が大阪から引き抜いてきた一人。
38歳の独身で、前の職場でも披露宴のチーフをしていて何度か私のお客様の披露宴にも携わってくれたこともあり、その仕事ぶりやお客様からの信頼度の厚さに沖縄に来てもらえないかと声をかけたところ二つ返事をもらえたのだ。


「そうですよね。今まで何度も披露宴を担当していても、お客様にとっては一度きりだと思うと、緊張しますよね。。。
弘人さんと美穂の素敵な笑顔がたくさん溢れるように頑張りましょうねっ!!!」

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