潮風とともに
挙式も披露宴も滞りなく進み、
始めての結婚式は大成功といったところだろうか。
弘人さんと美穂の幸せそうな笑顔を見るとこちらまで嬉しくなり、新婦の手紙の時は思わず私までもが涙ぐんでしまうほどだった。
三ヶ月後には私と波瑠の披露宴がある。
楽しみな半面、仕事と準備の忙しさに目が回りそうなほど。
「――――っふーーー。なんか気が抜けたかも。」
そうポツリと呟いてから先程そこの自動販売機で買ったミルクティーに口をつけた。
全ての片付けや報告書を終えて、更衣室の隣にある休憩室で一息ついたところ。
ガチャ
扉の開く音に目を向けると、小さく手をあげながら波瑠が入ってきた。
「お疲れ様。終わった?」
自動販売機でコーヒーを買ってから私の隣へと腰かけ、同じようにふーっと息をついた。
波瑠の横顔を見ると少し疲れが伺えて、でもどことなく達成感のようなスッキリとした雰囲気も感じられる。
「波瑠もお疲れ様。無事に終わってよかったよね。二人ともすごく幸せそうだったなーー。」
「そうだな。俺、昔から弘人を見てきたけど、あんなに幸せそうに笑うの始めて見た。
結婚って幸せだな。」
グイッと残りのコーヒーを飲み干してごみ箱に捨てて立ち上がると、私に向けて手を差しのべてきた。
「さてと。明日は引っ越しだし帰りますか。」
「うんっ!帰ろっ!!」
私はその手を握りしめた。