潮風とともに


それからは兄が主体となって
慰謝料や接近禁止の書類にも判を押してもらった。


「書類は以上です。もし何かありましたらこちらまで連絡をください。

こちらも何かありましたら、私を通して相澤さんにご連絡いたします。」

兄が名刺を渡しながら言った。



「わかりました。
それでは、忙しい時にお邪魔しました。」


おじさんとおばさんが頭を下げてリビングを出ていくと、剛もこちらに頭を下げて出ていった。


最後に切ない顔をしていたけど、もうどうにもならない。



これで終わったんだ。。。


お兄ちゃんのお陰でキッチリと出来たし、
本当によかった。



時計を見ると11:30になっていた。

帰る準備をしていると、見送りから戻ってきたお母さんに声をかけられた。



「あら瑠碧、帰るの?お昼食べていけばいいのに。」

「そうだよ、瑠碧。ゆっくりしてけよ。」

お兄ちゃんにも言われてしまったけど、美穂との約束の時間がある。


「ごめんね。そうしたいんだけど、美穂と約束があってさ。
明日から沖縄に行くし。帰ってきたらゆっくり遊びに来るよ。」


「そうなの?じゃあ沖縄から帰ってきたら待ってるね」

お母さんにそう言われて、私は軽く手をあげてから実家を後にした。
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