潮風とともに

「んあぁぁぁ、、、いったい。いたい、、、
んんんーーーー」


「瑠碧?!!るあ、がんばれ!」


「瑠碧ちゃん、助産師さん呼ぶね!」

お母さんが私の痛みの変化に気がついてくれてナースコールを押してくれたり


バタバタと助産師さんが病室に入ってきて、また内診をしてくれると、もう産まれてくる一歩手前まで来ていると言われて、陣痛の間にとなりの分娩室に移動することになった。


のろのろと起き上がるとすぐに痛みがくる。



なんとか教えられたように呼吸をしながら痛みを逃して、少し移動するとまた痛みがきて、、、



となりの部屋に移動するだけでこんなにも時間がかかるのかというくらいの時間をかけて、
やっとの思いで分娩台に乗ると、不安そうな顔の波瑠が四海に入ってきて、思わず微笑んでしまった


「波瑠、大丈夫だよ。もうすぐ会えるから、そんな顔しないで??」

ハッとしたように目を見開いた波瑠が、その後には眉をハの字に提げて泣き出しそうな顔になった、



「瑠碧がこんなに痛い思いをしてるのに、俺は何もできないのが悔しくて。。。
痛みも分からないし、応援しかできなくて、ごめんな?
雑誌で勉強してても、痛そうな瑠碧見てたらもう……」

私の手を握る波瑠の手が微かに震えていて、
大丈夫だよと伝わるようにぎゅっとにぎった。


「波瑠、ありがとう。私が痛いとき、赤ちゃんは苦しいんだよ?だからこんな痛みも愛しい。赤ちゃんが産まれてきたくて頑張ってる証拠だもん
私と赤ちゃんが頑張ってるのを、波瑠に見ててほしい。」
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