潮風とともに
********
あれから3年がたち、碧はおしゃべりが上手になり、
パパもタジタジになってしまうくらいのおませな女の子へと育った。
初めての寝返りも、ハイハイも、あんよも。
ひとつひとつの事柄が当たり前のことではなくて、かけがえのない、奇跡が生み出すものなの
碧が私たちのもとに産まれてきてくれたことも、
こうして元気にそだってくれたことも。
すべてが奇跡。
あの日、沖縄に旅行に来て、波瑠と出会ったことも
恋をして、お互いに求めあったことも。
「瑠碧ーー!いくぞーーー!」
「ママーーー!はやくーーーー!」
玄関から二人の呼ぶ声が聞こえて、慌ててバッグを持って玄関に向かう。
「っ!瑠碧走るなよ!!転けたら大変だろ!?」
少し走ったら、すっかり心配性になってしまった波瑠が眉間にシワをよせて怒ってくる。
「ふふっ、大丈夫よ。赤ちゃん、パパは心配性ですねーー。」
だいぶ大きくなったお腹にそっと手を触れると、赤ちゃんがウニョウニョと動き回る。
私の声に答えてくれたような気がして、また笑みがこぼれた。
あと一ヶ月もしないうちに、碧の弟が産まれてくるから、今日は三人で海に行くことになった。