潮風とともに


「あぁーいっぱい買ったね!」

美穂は満足気に紙袋を眺めた。


「久しぶりにこんなに洋服とか買ったわ。美穂ありがとね。」

「なに言うてるん!明日からの沖縄、楽しみやなぁ!」

「ガイドブックも買ったし、明日飛行機の中でみよ。」

「じゃあ、準備もあるし、今日は帰るけど。瑠碧、一人で大丈夫??」


心配そうな表情で美穂が伺うように私を見つめた。


「大丈夫。うちも明日楽しみ!準備もしないとね。」


私はなるべく心配かけないように、笑顔で答えた。


私のマンションから美穂のマンションは徒歩10分ほど。

近いからこそよくお互いのマンションを行き来している。


「じゃあ、何かあったらすぐ電話しいや!」

そう言うと、美穂は自分のマンションの方へと足を進めた。

後ろ姿を見おくり、美穂が角を曲がったところで私もマンションのエントランスへと足を進めた。


部屋に入り、たくさんの紙袋を置くと、

明日からの沖縄が楽しみでワクワクしてきた。




ぐるりと1LDKの部屋を見渡すと、そこらじゅうに剛の形跡。

お気に入りのウォークインクローゼットの中にも、剛がいつ泊まりに来ても大丈夫なように置いてあったたくさんの洋服が入っている。
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