潮風とともに
南の楽園
「瑠碧、おはよー!!」
早朝にエントランスの下で元気いっぱいに手を降る美穂。
美穂は私より少し背が高く、スラリとしたスタイルに顎の下で切り揃えたサラサラのボブカットがよく似合っている。
目元は一重の切れ長で大きく、溢れる色気もあって、短大の頃からアジアンビューティーと呼ばれてモテていた。
私はというと、お父さんのおばあちゃんがアメリカ人で元々お父さんの家系は沖縄だったからか、顔立ちが堀が深いとよく言われていたし、
劣性遺伝でおばあちゃんに似ていて、よくハーフと間違えられるくらいだ。
昔はそれが嫌なこともあったけど、今ではこの大きな目も濃い睫毛も、色素の薄い髪の毛も気に入っている。
「おはよ。美穂。楽しみだね!」
「じゃあ、早速、いきますか!」
そう言って、二人でキャリーバッグを引いて駅へと目指した。
電車に乗り込むと朝早い時間だからか、サラリーマンが多い。
キャリーバッグが邪魔にならないように、二人で電車の隅に寄った。
「朝向こうの天気調べたけど、1週間晴れやったで。
ほんまうちらついてる!!」
美穂が嬉しそうに教えてくれた。
「そうなんだ!よかったー!マリンスポーツ楽しみにしてたからさぁ!
ホテルでスキューバ体験申し込んでるからね!」