潮風とともに
少し震えた剛の声が聞こえてきて、
スーっと心が冷えていくのが自分でも分かった。
「瑠碧、説明させてほしい。
今からそっちに行くか……、」
「来なくていい。来ても部屋には入れない。
どうしても話したいのなら駅前のファミレスにいて。」
私はそう、言うと電話を切った。
いつからだったのだろう。
私は忙しさにかまけて、彼をよく見ていなかったのか……
忙しくても、自分と彼の休みの月曜には日曜日から泊まりに行ったり、彼がうちに来たりして過ごしていたし。
それに、、、
婚約したばかり。
結婚前の、ただの遊び???
それにしたって、浮気をするようなやつと、
結婚なんてしたくない。
今の状態で浮気するようなやつ、結婚してからもするだろう。
私はそう思いながら部屋の鍵を閉めて、ファミレスに向かった。