潮風とともに
「なぁ、瑠碧。瑠碧って大阪から来てるのにあまり大坂弁じゃないだね。」
「あー、そうかも。私、元々生まれはハワイなんよ。
おばあちゃんがハワイの人でね。お父さんもハワイで産まれて育って、大人になってから日本にきてお母さんと知り合ったんだけど……
おばあちゃんの影響でお母さんもフラダンス始めたから結婚してすぐにハワイで暮らし始めて私が産まれて。
中学に上がる時に、日本に来たの。
中学高校と長期休みはおばあちゃんの所にいたし、大坂弁は回りがそうだから少し移ってるけど、
家では英語がほとんどかも。
お父さんも日本語より英語が使いやすいみたいだし。」
「なんか、すごいな…… 俺、英語とか高校の授業で使って以来使ってないわ……。」
「普通、そんなものじゃない?仕事で使うとかなら別だろうけどさ。」
私がそう言うと、波瑠が私の長い髪をすくように触った。
「だからか。髪が色素が薄いのも、瞳が薄い茶色なのも。……始めて会った時から綺麗だと思ってた、、」
波瑠が愛しいものを見るように優しく髪にふれた。
「……ありがとう。」
私は嬉しくて自然と笑みが溢れた。
手を繋いで歩いていると、スマホが着信をしらせた。
バッグから取り出してみると、美保から。
ごめんね、と波瑠に断ってからスマホを耳に当てた。